大判例

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東京高等裁判所 昭和41年(う)2646号 判決

被告人 田宮幸三

〔抄 録〕

職権による判断

ところで原判決が前記のように第二の事実(酒酔い運転)についても被告人は当時心神耗弱の状態にあつたものと認定して刑法第三九条第二項を適用している点につき、職権により調べてみると、記録によれば被告人は当時、すでに述べたように、自動車を運転して酒を飲みに前記バーニユーボートに行き(その前にも多少飲酒しているが)、飲み終れば酔つて再び自動車を運転することを認識しながらビールを二〇本位飲んだ後(石井栄一所有の自動車を自分のものと取り違えて)自動車を運転して本件犯行に至つたものと認められ(司法警察員に対する供述中には歩いて帰ろうと思つたとの記載があるが、これは前記石井栄一の車を運転する直前に生じた考えであつて、バーニユーボートで飲酒の際にすでに歩いて帰る予定であつた趣旨とは解されないし、その考えもすぐに変つている。)、被告人が他の者に自動車の運転を代るようあらかじめ依頼してあつたとか、あるいは自分の自動車の保管を依頼するなど、乗車運転しないで帰宅する考えであつたことを示すものは何もない。従つて、被告人は、心神に異状のない時に酒酔い運転の意思があり、それによつて結局酒酔運転をしているのであるから、運転時には心神耗弱の状態にあつたにせよ、刑法第三九条第二項を適用する限りではない。この点においてもまた原判決には判決に影響を及ぼすことの明らかな事実の誤認があり、かつ法令の適用に誤りがあるものとしなければならない。

(新関 吉田信 大平)

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